みなさんは、「貧困」「ホームレス」という言葉をきいて、どのようなイメージを持つでしょうか?「貧困」というと、どこか遠い国の問題と考えている人もいるかもしれません。「ホームレス」は、簡単にいうと「家がない」ことを指しますが、路上での生活だけでなく、車上生活や現代ではネットカフェなど不安定な住環境での生活者も含み、「ホームレス」の定義は多岐にわたります。

 

自己責任・・・?

 「貧困」や「ホームレス」の状態に陥るのは、「その人の努力が足りなかったからだ。」「自業自得だ。」などと思っている人はいませんか?しかし、失業や病気、事故など、人生には思いがけない出来事がたくさんあり、その思いがけない出来事によって生活ができなくなってしまうことは、誰にでも起こり得ることなのではないでしょうか。

 私たちは、貧困や生活困窮の問題について、もっと知りたい、学びたいと思い、ホームレスや生活困窮者の支援を行っている「岡山・ホームレス支援きずな」の豊田佳菜枝さんをはじめとした職員の方に話を伺いました。

 

どんな活動をしているの?

 初めは、冬季の炊き出しを主として活動されていたそうです。しかし、「その場しのぎの支援は、自己満足の支援になっているのでは・・・?」という思いを抱くようになり、「その人が抱えている問題を解決し社会に戻ってくることができるような支援」が必要だと考えるようになったそうです。そこで冬季のみの支援から通年、毎週1回の炊き出しを行うようになり、そうしていくうちに、徐々に関係が形成されていったといいます。今では、炊き出しや夜回りなどのアウトリーチ(課題の発見)をはじめ、健康相談、法律相談、自立相談、居場所づくり、自立支援、アフターケアといった一連の支援活動を行っています。

 

本人が希望していることは何か?

 「初めの段階では根掘り葉掘り聞かない。」時間をかけた関係作りに努め、その人の人生を一緒に考え共有し、共に歩んでいく。その人の人生そのものと関っていくことを大切にした支援を心がけているそうです。そのためには、一人ひとりに合わせた支援を行うこと、多様な自立の引き出しを持っておくことが必要であり、大切だと言われていました。

 

誰かのためになっているという自尊心

「一方的な支援はされている方が苦しくなる。お互いに助け合うことが大切で、支援を受けている側も見方を変えれば支援者になり得る。」

 その一例として、フードバンクが挙げられます。品質には何の問題もありませんが販売することはできない、しかし、それらを捨てるのにはお金がかかる、これらの食品をホームレスの人、生活に困窮している人たちに配布しています。つまり、食品ロスの問題に貢献しているのです。

 

貧困は個人の問題ではなく、社会の問題である

「自己責任論がある中で、本当に生活に困った人たちが助けを求めることはなかなか難しい。それでも"『助けて』と言いやすい地域が増えていくことで少しずつ世の中が変わっていく。1つ1つの地域が変わっていく中で、この日本という国に暮らす私たち一人一人が生きやすい社会に少しずつ変わっていく。劇的に世の中は変わらない。だからこそ、一人一人の意識が大切。そして『助けて』というその声、その手を離さない国こそが豊かな国だと言えるのではないか。何か困りごとに出遭った時に『困った』とすぐに声をあげられる社会であってほしい。」豊田さんの力強い言葉に、とても考えさせられました。

 私たちにできることは、自分には関係がないと思うのではなく、まずは関心を持つことだと思いました。年金をもらえる権利がありながら、もらえないと勘違いし、路上生活を送っていた高齢者。就職活動に失敗して社会に出ることが怖くなり、一人家に引きこもり、物やゴミであふれかえった劣悪な環境で暮らしていた若者。話を聞けば聞くほど、生活に困窮する要因は誰もが持ち合わせているのだと考えさせられました。

 現在、ホームレスの数は減ってきていますが、生活に困窮している人は増えているそうです。このことは、貧困が見えづらくなっていることを示しています。見えない貧困をどのようにして"見える化”していくかが課題であり、見えないところにも困っている人がいるということを知ることが大切であると感じました。

 きずなの職員の皆さんの、言葉のひとつひとつ、まなざしが強く印象に残っています。「人を救うのは人である。」そう強く感じた時間でした。


 

ノートルダム清心女子大学人間生活学部人間生活学科

社会福祉士課程3年 堤 佳奈 有元 文夏