2月号に掲載した前編では、CSRに取り組む「マスカット薬局」の思いや取り組みの内容をお伝えしました。今号では前編の内容を踏まえて、企業とNPOの協働の可能性について考えてみたいと思います。
「営利を目的とする企業」と「営利を目的としないNPO」、接点はどこにあるのでしょうか。
●NPO等との共通点は?
企業が行うCSRと、NPOの活動に最も共通するのは、理念です。社会の中の一員として、何らかの課題意識をもっているのです。
社会課題に対してアプローチするために、企業はCSRと呼ばれる取り組みを、NPOなどの団体はそれぞれの活動を行っています。
前編でお届けしたマスカット薬局も、「持続可能な社会」を目指すことが取り組みを始めるきっかけでした。社会の一員である企業として出来ることを考えた結果、「地域の人々の健康を守る」ことを目的とした活動に行き着くのです。
組織体制はまったく異なる両者ですが、根っこにある社会へのまなざしは共通することがよくわかります。
●Win-Winで社会課題に向き合う
根っこの部分が同じなのであれば、社会課題の解決に向けて、お互いのノウハウを活かして企業とNPOが共に課題解決に取り組める可能性もあるのではないでしょうか。
企業には企業の資金力やコネクションが、NPOにはNPOの人脈や情報網があります。課題解決に向けた具体的な歩みがなかなか進まない状況では、既存のネットワークの活用に加えて、新たな下地作りが必要になります。
その選択肢の一つとして、「企業とNPOの協働」があげられるのではないでしょうか。お互いの特性を生かすことで、課題解決スピードの促進や、取組内容やプロセスの洗練が期待されます。
とはいえ、企業とNPOが接触する機会になかなか恵まれないのが現状です。お互いのことをよくわかっていない段階では、どのようにして一緒に取り組んでいけばよいのか、具体像が浮かんできません。
●まずはお互いをよく知るところから
NPO団体などは、企業が何のために、どのような思いでCSRに取り組み、どの程度エネルギーを注いでいるのか。また、CSRと一口に言っても、内容は企業により様々です。多くの企業はHPなどで自社の取組内容を公開しています。
どのような企業がどのような課題意識を持っているのか、リサーチしてみるだけでも活動の視野が広がりそうです!
企業はまず、NPOなどの団体の特性を把握することから始めると良さそうです。法人、非法人の違いなどの組織体制について学ぶことも必要ですが、非営利である団体が活動する上でのメリット/デメリットを理解することはより重要です。
また、団体によって規模や活動を展開するスピードなどは千差万別です。団体の目的意識や活動の様子を把握するためには、意識的にアンテナを張ることが必要不可欠です。
お互いの活動をよりよく発展させて社会を豊かにするために、「企業とNPOの協働」という視点をもってみませんか?
読者コメント