みなさんは「遊び」にどのようなイメージをもっていますか?誰しも遊ぶことでうれしくなったり、楽しくなったり、いろんな経験をすることができると思います。また、『遊び』に注目して発達障がい児に療育を行う団体があるのをご存知でしょうか?
私たちは発達障がい児に遊びを通して療育を行うってどんな活動なのだろう…?と疑問を持ちました。私たちの考えで言う「遊び」というと、「楽しいもの」というイメージを持っています。その楽しいと思える中で療育が行われることは、子供たちにとっても親にとっても参加しやすい活動に違いない!と思いました。今回、具体的な活動内容や、活動している方たちの思いを実際に聞かせてもらうだけでなく、活動にも参加させていただきました。その時感じた私たちの思いも含め、「遊育・遊びを育てる会」について紹介したいと思います。
それではどうぞ!
●活動目的
「遊育・遊びを育てる会」の活動目的は、軽度発達障がい児(者)および定型発達児でコミュニケーション能力や人間関係に不安のある幼児・児童に対し、「ダイナミックな遊びを中心とする遊育療法」及び「群れ遊びを中心とする遊育」を行うことにより、子どもたちの社会性を育て、将来の自立と社会参加を目指すことです。
●活動内容
活動内容は大きく二つに分けられています。一つ目は、子どもを対象にした活動です。ダイナミックな遊び、群れ遊び、粗大運動遊びなど、遊びを中心にしたものから、宿泊活動もあります。それぞれの遊びには意味があるそうです。例えば、ダイナミックな遊びはこだわりや転導性の抑制、群れ遊びはルールのある遊びを通して社会性を育てることを目的としています。また、青少年倶楽部という活動もあります。青少年倶楽部は、就労やインターンシップまでに伸ばしておかなければならない能力をしっかり伸ばすための活動です。主な対象は、あそびのひろばに参加していた子どもで土台作りがほぼ終了した小学校高学年児・中学生です。具体的な活動として、実際にフリーマーケットに参加したり、集まった生徒たちでプレゼンを行ったりするそうです。二つ目は、保護者を対象にした活動です。保護者に向けたカウンセリングや講演会、学習会などを行っています。
\ 実際に活動に参加させていただきました! /
この日は焼き芋をすることになっており、グラウンドで芋を焼くのですが焼くための枝や枯葉をすぐ裏の山に取りに行くところから始まりました。ただ用意されたものを使うのでなく、芋を焼くための枝や枯れ葉は自分たちで拾いに行ったり、芋をくるんだりと、子供たちに実際に体験してもらうことが多いのが驚きでした!
みんな焼くために使うものだけでなく、大きな葉っぱやきれいな葉っぱ、ドングリなどを拾い持って帰っていました。大自然に触れ目を輝かせていました。
山に登ってみんなおなかがペコペコ。ボランティアの学生も混ざり輪になってお昼ごはんタイムです。お母さんの手作りのお弁当をもってみんなで楽しく食べました。
ついに焼き芋をたき火で焼いていきます。芋を濡れた新聞紙でくるみ、その上からアルミホイルで覆って、いざ火の中へ!おいしくやけるかな~?
お芋が焼けるまで外遊びをしました。これはサッカーをしている時の様子です。歳が違っても、お兄さんお姉さんがリーダーとなって、学生はそのサポートに回り、楽しく遊びました。
焼けたお芋はとてもおいしく焼けていてみんな喜んでいました。
今回は焼き芋をするという行事に参加させていただいたのですが、焼き芋をするだけでなく、朝は紙芝居、焼いている間は外でサッカーなどの外遊び、焼き芋を食べ終わってからはバランスボールや卓球などの室内遊びというように長時間遊んでいるというのが私たちにとって新鮮でした。
代表の津田さんは、このような活動を通して、「遊びの楽しさを知る」ことと、「学習の土台作り」ができる力を育てていきたいと言われていました。コミュニケーション能力や社会性を身につけるだけではなく、集中力を持続させることや興味を持つことの力を育むことを大切にされています。苦手なこともチャレンジし、ボランティアが励ましながらなるべく自分の力で取り組むことで、達成感や自己肯定感を育てていきたいと言われていました。そのためには学生ボランティアの役割が大変重要だそうです。学生のボランティアであれば体力的に長く遊ぶことができ、年齢が近いため親近感がわいて子供が受け入れやすいというメリットがあります。こうした学生ボランティアが子供にマンツーマンでかかわることが子供の問題行動の解消などに役立っているそうです。
今後は、ダイナミック遊びによる土台作りの良さや効果を全国的に知ってもらい、一人でも多くの子供に体験してもらうことを目標にしていると言われていました。
●さいごに
今回インタビューと活動を参加させていただいて思ったことは、とにかく楽しい活動であるということです。『長い時間遊ぶことで本当の遊びの楽しさ・面白さを理解してもらう』と、お話を聞いていたので、実際に参加することでより理解を深められました。人と関わるのが苦手だったり、うまく気持ちを表現できなかったりする子が、遊びを通して自分を表現できるといった姿を、活動中、何度もみることができました。そのことから、子どもにとっての楽しさの重要性を感じました。また、「遊ぶ」ということに対しての新たなイメージをもつきっかけとなりました。
私たちがはじめから思っていた、「楽しい」の中で療育ができたら素敵だな。という思いはインタビューをさせていただいた後も変わりませんでした。この活動の「遊び」はただ「遊ぶ」「楽しい」という単純なものでなく、遊びの中にはちゃんとした理由があり、工夫がたくさん詰まっています。普段やっている遊びと変わらないことをしているようにみえてもそこには、子どもたちの学びのカギが隠されているのです。お忙しいところ、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
ノートルダム清心女子大学人間生活学部人間生活学科
社会福祉士課程3年 大月さくら・谷本容子
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