姪っ子が野球部のマネージャーになった。どんなことをするのかと思っていろいろ聞いてみたらなんと炊き出しもという。炊き出しを僕はやってみた覚えはほとんどない。
どんな場所でやるのだろう。炊き出しをする機会はないかもしれない。いやいや隣の方は毎年、薪でもち米を炊き、臼でついている。それって炊き出しと近いのではないか。
知り合いの餅つきに参加したことはあるが自分から主導したことはない。ということはほとんど自分で野外にて食事をしようと思ってもほぼ見よう見まねで経験が少ない。そんなことで炊き出しができるだろうか。
<炊き出しの極意は?>
ところで、どうしても炊き出しの必要な状況ってどんなものだろう。皆が自宅で食事を取れない場合だ。 それはまさしく大きな災害の直後である。イベントを企画や運営される方は是非炊き出しの経験をしてみるべきだ。 炊き出しの経験のある人は多くの人にそれを教えてほしい。マニュアル化も必要かもしれない。だがそれだけで実際うまくいくだろうか。炊き出しは一人ではできない。
料理には経験が必要なのだ。やってみなければわからない。道具や材料の分量だって見当がつきにくい。これから必須の技術の一つに炊き出しがあるのかもしれないのにである。炊き出しをしているイベントがあったら作っている人達を是非詳しく観察してみたい。
道具も必要だ。大きな鍋はあるだろうか。火は起こせるだろうか、薪はあるのだろうか、 薪とマッチはあったとしてもそれで果たして大きな火をどれだけの人が作れるだろうか。
現代人はあまりにも炎から遠ざかりすぎている。 火加減は経験してみないと絶対にわからないと思う。そこで「イベント応援炊き出し隊」 の結成を提言したい。
<昨年の西日本豪雨>
災害のない県といわれ続けてきた岡山県で昨年これだけの災害が起きた。待っている暇はない。災害がおきなかったとしても炊き出しの経験は 人生の糧になる。温かい食事は人を温め、笑顔を生んでくれる。バーベキューをしてみるとよくわかる。
子供たちにとっても炊き出しは 大人になるまでに一度は経験しておきたいイベントだろう。非日常の食事は忘れがたいものになるかもしれない。
食材はどうしたらいいだろう。ボランティアという場合は資金が 乏しいものだ。 フードバンクの方なんかに相談してみたい。後はタイミングと場所であろう。
何年か前に B-1グランプリが津山で開催されたことがある。全国から多くの人が詰めかけ離れた大きな駐車場からピストン輸送のバスが出て会場まで多くの人を運んだ。B-1グランプリはうまさを競うコンテストであるが その 運営や 食事の作り方はきっと炊き出しの参考になるに違いない。 貴重な話だ。
<炊き出しのプロ、石原軍団>
石原裕次郎の設立した「石原軍団」。彼らは餅つき機や3000人分の炊飯ができる炊事道具等を所有しており、阪神淡路大震災や熊本地震でも炊き出しをおこなっていた。撮影現場やイベントでは炊き出しをするのが恒例になっていたらしい。メニューによって担当が決まっていて、渡哲也が焼きそば、舘ひろしがぜんざい、神田正輝はなんでもできることから手薄になったところを手伝うという。(昨年の豪雨で岡山に炊き出しに来なかったのは、裕次郎記念館の閉鎖にともない、炊き出しの道具を手放したらしい。残念・・ )
ちなみに、石原軍団が「おもち」の入っている炊き出しを行う場合は必ず掃除機を持参するらしい。万が一、もちがのどに詰まったら吸い出そうということである。舘ひろしさんのすばらしい気配りだ。
<炊き出しは災害時の保険>
災害への対策や準備は身近なところからこなしていきたいものだ。災害対策は突き詰めていくと保険のようなものだ。炊き出しという、人生の糧にもなる保険には是非とも入っておきたい。
姪っ子には素晴らしいスキルを手に入れたねと褒めて「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(岩崎夏海著ダイヤモンド社)という野球部のマネージャーが主人公の本を贈っておいた。
※自治体関係の皆さま 炊き出し教室や講習を是非企画してください。良いスキルアップになり地域貢献になると思います。
濱手英之
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