岡山市北区の岡輝地区に、一回300円で(中学生以下は無料)温かい食事を提供している食堂「岡輝みんな食堂」があります。一人暮らしや老夫婦だけで暮している方に、「外に出るきっかけのひとつになれば」と月1回開かれています。そこでは、幼児から年配の方まで、幅広い世代の方が集まり、和気あいあいと楽しくおしゃべりしながら食事をとっています。
この食堂を始めたのは、岡輝地区のデイケア施設で働く介護福祉士の圓山さん。お年寄りが家から出る機会が少ないことを知り、医療・福祉・司法関係などの同じ地域で働く仲間に声をかけて、2017年10月に8人でスタートさせました。
岡輝地区の公民館や福祉施設で
岡輝地区は市の中心地に近くバスも電車も通っていて便利な場所です。
とはいえ、若い世代が独立して帰ってこないため高齢化率が高く空き家も増えています。地域によっては高齢化率が50%を超えているところもあり、少子化が進みました。その結果、悩みを一人で抱えているお母さんもいます。
そこで、歩ける範囲の限られているお年寄りや小さい子供を連れたお母さん達が参加しやすいように、会場を特定しないで毎回異なる公民館や福祉施設で食堂を開いています。
メニューは、栄養士がバランスの良い献立を考えてアレンジしています。おふくろの味、湯気の立つ熱い味噌汁やごはん、漬け物、焼き魚、カレーライスなどといった定食、地区のボランティアの皆さんが腕によりをかけて作ってくれます。食材は、フードバンク岡山や市民から譲り受けた食品、野菜など。備前県民局の補助金もあり、ボランティアの皆さんが工夫して色々な食材を提供しています。
幼時からお年寄りまで100人集まることも
食堂の開催日のお知らせのチラシを公民館などに置き、町内会、民生委員やPTA、ケアマネなどにも声をかけてもらっています。集まってくるのは、幼児から90歳代のお年寄りまで、30人~50人。お年寄りが8割・子供が2割くらい、女性の方が多いようです。場所によっては100人程度集まることもありますが、場所ごとに集まる数は大体予測できるので、予めスタッフやボランティアの確保もできています。
食事の後は、トランプなどの室内ゲームに興じたり、転倒予防体操・歌体操で体を動かしたり、童謡や懐メロをみんなで一緒に歌ったり。各々が、自分の好きな事をしながら楽しくくつろいでいます。参加者の一人は「温かい食事もだけど、久しぶりに近所の人と話ができて嬉しかった」と笑顔をみせてくれました。
また、エプロンなどのグッズを作って販売したり、「炊き出しの訓練」も兼ねてたくさんの方に食事作りに参加してもらったり。いかに楽しくできるか、どんどんアイデアを出すのは、運営に参加する人たち。食堂の雰囲気も明るく、みんなが笑顔で過ごしています。
「地域の人たちが、自分たちの地域を自分たちでよくしようと、自主的に動いてくれています。それを自分たちは『岡輝みんなの食堂』を通じてお手つだいができていけたら」と、話す圓山さん。
「ぜひ、一度来てください。みんなで一緒にご飯を食べようよ」
光信篤子
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