この記事は、ゆうあいセンターで開催した「ソーシャルライター入門講座」の参加者による寄稿です。
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第2の患者とは「がん患者の家族や遺族のことである」と“第2の患者会”「すろーす」代表の菱沼路代さんは語る。
中1の時スーダンのやせた少女を狙うハゲワシの写真を見て衝撃を受けた。ピュリッツァー賞を受賞したケビン・カーター氏が撮影した写真だ。そして人を助けたいとの思いで医療者を目指し、のちに看護師となった。
看護学生の頃それまで元気だった母親に突然余命半年の告知。母親が亡くなった後もほとんど誰にも心境を語れず、もとの自分に戻るのに10年かかった。その頃、賛同してくれる方と出会い「すろーす」を立ち上げた。
左から スタッフの松川さん 代表の菱沼さん
月1回家族と遺族のためのがんカフェをそれぞれ開催。ゆったり過ごす中で気持ちを語ることができ「やっと弱音が語れた。涙が流せた。心の整理ができた」という声が聞かれる。
世間には、患者家族会は多いが、そこでは患者さんが中心になりがちだ。患者の家族が本心を語れる場が一般的ではない中、画期的な会と言えるだろう。
設立から1年たったが今後はこのような活動の意義を言語化したり会の存在を広く知ってもらう活動に取り組みたいとのこと。すべてが手探りの中、その名の通りゆっくりとあるべき姿に向かっていこうとしている。
一方で菱沼さんの中には、患者の支援者でもある家族を患者と呼ぶことに躊躇する思いもあると言う。二人に一人が、がんになると言われる昨今、がんの知識が広く認知され、患者も家族も特別視されることなく、ごく自然に尊重されるケアが行われる社会の出現を切に望んでいるようだ。
詳細については第2の患者会すろーすのFBページまで。
井上 けい子
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