ボランピオ

2013年 vol.2

【インタビュー】子どもシェルターモモ

2013年11月10日 11:04 by izumi121

シェルターという場所 

 

 

シェルターという言葉を聞いたことはありますか?

アメリカのニュースなどで「竜巻のような災害に備えて自宅にシェルターを備えている家」が出てくるのをみたりしますが、あれは災害に備えて「緊急避難する場所」。

いざという時に逃げることができる場所のことを「シェルター」というのです。


今回お話をお伺いにいったのは「認定NPO法人子どもシェルターモモ」さん。


「子どもシェルター」?

言葉そのままにとれば「子どもたちの緊急避難場所」となります。

 

では、子どもたちは何から避難してくるのでしょうか。

子どもシェルターモモは岡山市にあるNPO法人で、虐待等により行き場のない困難を抱えるハイティーン(おおむね 15 歳~20 歳)の子どもたちの居場所をつくり、子どもの法的支援と福祉的支援を行われています。

引き受ける場所も、立ち直るための場所もない、そんな子どもたちの避難場所なのです。

 

児童福祉法で子ども(児童)は、18歳未満を対象とされており、児童福祉法の対象を外れると、居場所を失い自立のための支援を受けられないままの子どもたちがいるということを、(私は恥ずかしながら)子どもシェルターモモの活動を知った時に初めてしりました。

「避難をしてくる子どもたちがいるならば、それはものすごくヘビィな状況なのだろうな」
そう考えて、子どもシェルターモモさんの事務所はどんなところなのかとどこか少し緊張しながら伺いました。


  
 

事務所を訪ねると、西崎さんがあたかかく出迎えてくれました。


「ごめんなさい、ちょっと早くついてしまいました」
「いいのよいいのよ。あぁ、スリッパはこちらよ。さぁ中に入って」


温かく招き入れてくださった場所は、事務所というよりは「おうち」という感じ。

もともと人がお住まいだった住宅だったそうですが、スタッフの方たちのぬくもりがところどころに感じられます。

 

西崎さんというひと

西崎さんとお話をはじめようとした時、ふたりの青年がやってきました。

ふたりともとても感じのよい青年で、愛嬌があり、気さくな挨拶をいくらかかわし、最近の近況だとか、仕事の話だとかを他愛なく話してくれます。

実家に帰ってきた息子のように冷蔵庫を開け、ジュースを飲むと、
「あらっ、勝手にのんじゃいけないわよ」と、お母さんのように西崎さんが笑いながらたしなめました。

そんな親子のようなやりとりがあったあと、ふたりは用事を済ませ、
「またくるね~」と明るく出ていきました。

「さっきの子たち、どんな風に生きてきたように見える?」

私の目に映ったのが、あまりにも穏やかな日常の風景でためらっていると、察してくれたように西崎さんが言葉を続けました。 

「そうね、たぶん察しもつくとは思うけれど、モモに来る子たちは『甘えた』とか『かわいがってもらった』という感じを持たずに育った子がほとんど」
 

親の顔を知らないまま育った。親と暮らしていても虐待という悲しい時間を、長く長く重ねてきた。・・・・

ニュースではなく、ちょっと前まで目の前に座っていた彼らが体験してきたであろうことを想像すると胸がしめつけられるという感覚に襲われました。

 

ただ、悲しい事実ではあるものの、西崎さんがお話をされるなかで、その子たちのたどってきた人生を受けとめ、向き合い、愛情をもって接してきていることがひしひしと感じられました。

 

同時に、私には何ができるんだろう、という無力感も感じました。こんなに深い愛情も、それに携わるすべももっていないからです。

「無力感を感じる必要はないのよ。子どもたちにはいろんな支援の方法がある。自分の得てるところで、しっかりとやれることをやることがとても大切なことなのよ。」

そういって、西崎さんはご自身が関るようになったきっかけをお話してくださいました。


 

西崎さんが経てきたもの。

西崎さんは一番最初に「子ども劇場」という活動に関わっておられたそうです。

子どもが舞台などの文化活動に触れるという「子どもたちの育ち」を大切にした活動です。

子どもの心の育ちや、体験活動を広げていきたい、しかし県北など、集客に困難する地域などでは子ども劇場の活動を広げることが難しい。

そのなかで県域でできる活動が「チャイルドライン」という活動に着目されたそうです。

チャイルドラインとは18歳までの子どもがかける子ども専用電話のことで、子ども達の声に耳を傾け、心を支えます。


(チャイルドラインおかやま:http://ww3.tiki.ne.jp/~k-g-okayama/cl.html

その活動をするなかで、子どもたちの実情をよりリアルに知り、子どもシェルターが立ち上がる気運が周りにあり、活動に関ることになったそうです。


「私がたどり着いたのは子どもシェルターモモというところだった。
でもね、それぞれの立場で、それぞれの関り方で子どもたちに向き合うことがとても大切。
多くの人に子どもたちの状況をしってもらいながら、自分のできることからはじめることを大切にしてほしい。」

まずは知るということも、子どもたちを支える一歩になるのだと感じました。

多くの人が子どもたちの周りにある課題を知り、ときには共感し、時には一緒に支えていくことができるようになればよいなと思います。

(ソーシャルライター:渡辺 泉)


▼認定NPO法人子どもシェルターモモ

http://shelter-momo.org/top.html

 

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