「学生団体に一番足りないところは何か。」
そんなことを聞かれると、
私はまず「組織運営」と答える。
体制の話をしよう。
おおよそどの団体にも会長や代表といったトップがおり、
その下にそれをサポートする者がいる。
ナンバー2である。
お金のことはやはり一人責任者がいるだろう、
ということで会計をする者がいる。
といった感じだ。
そこからさらに派生して細かい役職を付けているところもあるだろうが、
上記はどの団体でもほぼ同じであろう。
ではその者達、
いわゆる幹部と呼ばれる人たちを中心に、
組織が円滑にかつ継続的に運営がされているかというと、
おそらくほとんどの団体ができていないだろう。
今回取材したのは、
岡山大学の学生を中心とした、
点訳の会 キツツキ。
対応してくれたのは、
最近代表になったばかりだという、
原田のどかさん。
現在約20名のメンバーをまとめている。
「点訳の会」という名称から、
点字に関する活動をしているのはわかるのだが、
どうやらそれだけではないようだ。
― 普段の活動について教えてください。
毎週火曜日と木曜日に定例会を行っています。
そこでは主に点字の勉強を行っています。
また、土曜日、日曜日には依頼があったところへボランティアに行きます。
― 週に二日も定例会を行っているのですね。
はい。それに加えて土日のボランティアもあるので、
正直大変な時もありますね(笑)
でも、メンバーみんなでいる時間がみんな好きなので、
自然と集まってきています。
なので負担に感じたことは全くないです。
また土日のボランティアは、
イベントの手伝いや泊まり込みでのものもあり、
楽しみながら活動しています!
ー 点字に関することだけではないのですね。
そうですね。
幅広くボランティアを行っていますが、
やはり主な活動は点字に関することです。
点字教室を開催したり、
学内でのイベント時に点字の体験コーナーを設けたりと、
点字を身近に感じてもらえるよう頑張っています。
ー 原田さんがこの団体に入ったきっかけは何だったのですか。
学生の時間を誰かのために使いたいという想いから、
外に出て、ボランティアを経験したかったからです。
最初は単純な理由からだったのですが、
今ではめったにできない体験を、本当に幸せだと感じています。
ー 代表として、今後点訳の会キツツキをどのようにしていきたいですか。
毎年行っている、障害のあるないに関わらず、
誰でもできるスポーツ大会「レクリエーションスポーツ大会」が、
今年で30回で、そして今年が最後になるんです。
なのでその成功をまずは目指したいです。
そしてもう一つは、
今年私たちの団体は創立40周年を迎えます。
OB・OGの方々を招待しての記念パーティーを開催する予定なので、
しっかり企画して、今の活動を知っていただきたいですね。
お話を伺いながら、
ページの端から端まで、びっしりと書かれた引き継ぎノートを見せてもらった。
中にはメンバーひとりひとりにまるで寄り添うようにして書かれた、
点字の練習成果推移表などもあった。
その分厚くよれよれになった代々受け継がれたノートには、
もはや感動に近いものがあった。
これが歴史なのか。
40年も続いた団体。
その伝統と責任。
私には感じたことのない世界であった。
しかし、発足して一、二年の団体に数多く所属している私にもわかるのは、
持続可能なシステムを構築、
そして想いの受け継ぎをうまくしない限り、
絶対に団体は続いていかない。
ということ。
私たちの団体が40年続いたとしたら・・。
私たちはもう退職の時期だろうか。
そんなことをふと考えた。
ずっとずっと続いてほしい。
ずっとずっとこの想いを引き継いでいってほしい。
実はどんなイベントを成功させるよりも、
どんないいものをつくるよりも難しい、
団体の継続について、改めてメンバーで話し合わなければならないなと、
この取材を終えて思わされた。
これからもその歴史を刻み続けるであろう「点訳の会 キツツキ」。
点字に興味のある方は、ぜひコンタクトを取ってみてはいかがだろうか。
(ソーシャルライター : 井口 陽平)
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