ゆうあいセンターの「課題を知るゼミ」シリーズ「課題の裏側を、知ろう。」に参加しました。
「貧困」「障がい」「虐待」これらの課題の裏側にあるものは…そんな呼びかけ文に惹かれました。
貧困、障がい、虐待、それらの課題に直面する現場にいて、目の前の課題や事柄に追われる日々で、そのバックグラウンドにあるもの、背景を掴んだ上で現場に関わることが本当は必要だと感じていたからです。NPO法人杜の家の大森浩史さんから、そんな現場のお話や継続可能な事業の組み立て方についてお話を伺うことができました。
大森さんはマーケティングの視点をきちんとお持ちで「手の付けられていない問題」で「法制度でカバーされていないもの」が求められているニーズであり、さらにそれを「営利事業」でするか「非営利事業」でするか「ボランティア団体」としてするか、どういった組織で事業を行っていくのが適切なのかについても検討する必要があると言われていました。
目の前の困っている方に対して、その困っているその部分を解消しようとしてボランティアでニーズを満たそうとしてもなかなか継続が難しくなり、熱意だけでは結局存続が難しくなってしまって当事者の方に最終的に迷惑になってしまうことも起こりうることだと言われていました。そうならないように「真に求められているニーズ」を満たすために課題の分析、ニーズ分類を行うこと、細かくは個別ニーズの分析、構造化分析、マーケティングセグメンテーションなど言われていましたが、お客さんを分析して、パターンを掴んで、ニーズ(声)を組み上げ、我々にあるリソースを使ってモデル事業を行う、みたいな筋道を考えることができれば事業ってそう難しくないというお話をされました。20~30人お客さんがいれば事業が成り立つ、とも。なかなかそういう具体的な数値を出すことを難しく感じていましたが、その人数を対象にするという具体性を聞くと、事業化ってそう難しくないのかなと思ってしまいました。
今後、杜の家さんは児童デイサービスを行っていかれるそうですが、社会の変化によって新しく生まれたニーズであり、使える法制度を使って事業展開していけるその柔軟さ、求められているものに応えるだけのリソースを備えているところが素晴らしいなと思いました。「ボランティアだからこそできること」のお話も興味深かったです。支援者という立場になってしまうと「支援者と利用者」になってしまわざるを得ない面があります。そうではなくてボランティアという立場だからできる関わりというものを位置づけられていることが、利用者の方のためにもなるしボランティアさんのモチベーションにもなっていくなぁと思いました。
「東京のホームレスさんは恵まれている」というお話をされていましたが、目の前のニーズを満たすことが先決となることもありますが、そこを満たしたそれ以降の「真のニーズ」に対してそれに応えるためには何が必要なのか、そこに踏み込んで支援を考えられるようにならないと本当の意味での課題解決にはなっていかないのだということを改めて感じたゼミでした。大森さんのお話も興味深かったですが、参加者の方のそれぞれの思いや活動のお話や専門的なお話なども参考になりました。
(ソーシャルライター:近藤真由美)
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