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vol.42(2023年09月号)

【ゆうあいC 入居団体インタビュー⑥】『一般財団法人 人権問題等調査会』

2023年10月18日 11:10 by youi_center
2023年10月18日 11:10 by youi_center

【ゆうあいC 入居団体インタビュー⑥】

『一般財団法人 人権問題等調査会』

 

 

 

令和4年度に、ゆうあいセンター貸事務所へ新規に入居いただいた8団体について、団体の使命や活動目的をインタビュー形式で令和5年度にかけて紹介していきます。

今回は第6弾として、「一般財団法人 人権問題等調査会」代表理事の後藤さんにお話しを伺いました。

 

ゆうあいくん:後藤さん、こんにちは。はじめに、一般財団法人 人権問題等調査会について教えてください。

 

後藤さん:ゆうあいくん、こんにちは。

当財団は、人権問題を根本的に解決することを目的として平成2年3月に設立しました。広く人権問題の研究や啓発など、人権問題の解決に向けた活動を行っております。

 

ゆうあいくん:私自身「人権問題」はどこか関わりづらく、難しく感じていて、自分とは関係のない他人ごととしてしまいがちなので、この人権意識を変えるヒントをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

今の認識は学校で習った部落問題や障がい者差別、県が行う人権教育・啓発指導者講座で学んだハンセン病患者に対する偏見や隔離の歴史なども人権問題であり、そうした差別や人権侵害は「よくない」とわかっているものの、「自分に関わる問題」としては受けとめられていない状態です。

 

 

 

令和4年度児童生徒人権啓発ポスター入賞・入選作品 - 岡山県ホームページ(人権・男女共同参画課) (pref.okayama.jp) 】より転載

 

 

そこで、後藤さんにお聴きしたいのが、なぜ人権問題について取り組もうと思われたのか?活動を始められたきっかっけや今ある課題、解決しなくてはならない問題について、具体的な活動内容と併せて教えてください。

 

後藤さん:改めて活動を始めたきっかけは?と尋ねられると難しいですね。古い友人や同和地区の人たちが、本人とは無関係な事柄で差別を受けていたことが許せなかったからかなと思います。

日本の人権問題を論ずる際には、「同和問題」と言われる被差別部落解放運動が挙げられます。同和問題とは、歴史過程において形成された政治の仕組みとして確立していた日本固有の身分制度に起因するものであり、今日、この地域の出身者というだけで差別することは明らかな人権問題です。

 

 

 

 人権啓発ビデオ 人権アーカイブシリーズ「同和問題 未来に向けて」 - YouTube法務省HPより転載

 

 

現在では、国や地方公共団体が連携した様々な施策や地域における自主的な努力もあり、生活環境の改善をはじめとするハード面の格差は大きく改善されたものの、今日でも結婚や就職等の差別事象、最近では、インターネットを使った差別事象が発生するなど、差別意識の解消には依然として課題が残っています。

 こうした諸課題のなかでも、過疎化問題と若者の婚活がままならないことが、大きな課題として挙げられます。

住民の高齢化に加え、若者は地元を離れ都市部に就職する。農村地やカキの養殖場において深刻な人手不足に直面しているのは、地元に結婚相手がいないことが理由の一つです。

 この、地域の困りごとの解決に向け、当財団では国際結婚を推進し、若者の地元定着に長年寄与してきました。活動を続けるなか、結婚から4~5年が経つと、子どもを連れて国に帰ってしまうといった新たな課題にも都度対応して参りましたが、コロナ禍以降、活動をストップせざるを得ない状況が続いています。

 

ゆうあいくん:地方の過疎化はさらに進んでいくことが見込まれ、住民の高齢化に伴う介護の問題も課題とのことですが、婚活支援活動の再開も含めていかがでしょうか。

 

後藤さん:長らく渡航する際に適用されていた新型コロナウイルスに関する水際措置はようやく撤廃されたので、活動再開に向けての準備を進めています。

 まず、日本の外国人技能実習制度にもとづき、ベトナムからの技能実習生を受け入れている機関とタイアップした活動の再開により、介護や農業、漁業の担い手不足解消につなげたいと思います。また、国際結婚の推進についても、ニーズに応じたお見合いの機会を提供するなど、支援活動を再開していきたいと思っております。

 そのうえで、せっかく日本に来てくれた技能実習生が定着できない、結婚から4~5年で国に帰ってしまう原因として言葉の壁があります。そのため財団では、アジア諸国の若い人たちへの日本語教育・資格取得(看護師・介護士)や、外国人の日本語学習および日本の文化研究に対する指導を目的とした事業を併せて行っていきます。

幸い、ここ数十年の間、同和地域出身者が国・県の手厚い保障施策の元で大学に進学できたことで、教員免許を取得している方も多く、そうした指導できる立場にある方々の協力を仰ぎ、職場や家族・両親と言葉に起因するコミュニケーション不足とならないように、また、日本の文化や習慣、風習も身につけられるようにしていきたいと思っています。

 

ゆうあいくん:言葉による円滑なコミュニケーションが図られる。そこからお互い良好な関係性を築き、ストレスなく働き、地域での暮らしが安定するといいですね。

 他にも、人権教育や人権啓発の取り組みがあるとのことですが、聞かせてください。


後藤さん:
国連NGO横浜国際人権センター発行の月刊誌「語る・かたる・トーク」を購入し、県内55の各市町村教育委員会に毎月配付することで、子どもたちの人権教育に寄与するとともに、移動教室や講演会の開催を通した人権啓発も行っております。

 

  【国連NGO横浜国際人権センター「語るかたるトーク」 | T-over人権教育研究所より転載

 

 

ゆうあいくん:今の子どもたちはインターネットから多くの情報を得ていると思いますが、そのなかには間違った情報や他者に対する誹謗中傷も散見されます。インターネット上に書かれていることが事実とは限らない、自分は差別するつもりがなくても誤った情報を信じたり、周りに流されたりして差別や偏見を抱いてしまうこともあると思います。こうした取り組みから、子どもたち一人ひとりが人権を尊重し、互いの多様性を認め合える人権感覚を身につけてもらえると嬉しいですね。

 最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。

 

 

 

【移動教室】

 

 

後藤さん:今年は、世界人権宣言が採択されて75周年となります。また、国際連合総会により、毎年12月10日は「世界人権の日」と決議され、日本では、この日に先立つ1週間を「人権週間」としています。

我が国においても、人権尊重の気風は徐々に浸透しつつあるとはいえ、児童虐待、女性への暴力など、多方面で人権が踏みにじられ、阻害されるケースが多く発生し、深刻な社会問題になっています。

この「人権週間」を機会に、人として等しくあるべき権利の問題を解決してゆくため、みなさん一人ひとりが人権意識を高め、行動し、より多くの人々へ活動の輪を広げていただきたいと思います。

一般財団法人 人権問題等調査会は、広く国民のみなさまに人権意識の高揚を求めるべく、活動を行って参ります。

 

【講演会】

 

 

ゆうあいくん:「偏見を持たない」、「差別をしない」、「差別を許さない」という気持ちを〝行動に表す〟ことについて難しく考えすぎ、「多様性を認め合い」人権課題を「自分ごと」として捉え、その解決に向けて行動することは〝義務感〟として強く持ちすぎていたことで、自分自身「人権」から無意識に距離をとっていたんだなと気づきました。

義務ではない、だからと言って「何もしなくていい」わけではない。相手のことを思いやる、地域とのつながりを大切にする、毎日の生活で「支え合い」について心がける。自身の〝ふだんの くらしの しあわせ〟となることを見つけていって、〝ひとつずつ実践してみる〟を繰り返していこうと思う。

誰もが住み慣れた地域で、その人らしい安心で充実した生活が送れる地域社会となっていけるように。

本日は貴重なお話しをいただき、ありがとうございました

 

【お問い合わせ先】

一般財団法人 人権問題等調査会

住所:〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 きらめきプラザ2階

ゆうあいセンター内【事務所№9】(JR岡山駅から徒歩12分)

 TEL: 086-803-8302

 FAX: 086-803-8303

 

 ※私たちの主旨をご理解の上、活動にご賛同いただき、継続的にご支援くださる

  賛助会員様を募集しております。

 

 

 

 

《取材・編集協力、写真提供》

 一般財団法人 人権問題等調査会 [インタビュイー:代表理事 後藤 榮作 氏]

 

《インタビュアー・テキスト》

 岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(ゆうあいセンター) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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