ボランピオ

vol.25(2019年08月号)

【高校生ボランティアにインタビュー】 ~KTCおおぞら高等学院「ティアボラ」~

2019年08月21日 17:34 by youi_center
2019年08月21日 17:34 by youi_center

梅雨空の残る7月初め、KTCおおぞら高等学院岡山キャンパスに伺いました。
ゆうあいセンター主催の「岡山高校生ボランティア・アワード」にエントリーし、昨年度は受賞をした「ティアボラ」が、今年度もボランティア活動をしています。

この日はティアボラのメンバーを中心に集まり、翌日に募金活動をする準備をしているところでした。

 

いま、どんな活動をしているのか、なぜボランティアをしているのか、などについて、2人の生徒にインタビューし、担当の先生にもお話を伺いました。

 

【横山くん】
「入学して2か月。ティアボラもそのときから。社会の役に立ちたいと思っている。」

 

 

白幡:まずは、どうしてティアボラに入ったのか教えてもらえますか?
横山:ボランティアをする機会がそんなにないのでやってみたいと思いました。
そのきっかけは、昨年の豪雨災害で家のすぐ近くが被災し、何かできることがないかと思いボランティアを始めようと思いました。

白幡:今後のボランティアの予定は何がありますか?
横山:ティアボラで明日(7月5日)募金活動@岡山駅前(12:30~14:30)に参加します。
これが、ボランティアデビュー。ボランティアをちゃんとするのは初めてです。

白幡:明日のボランティアをするのは、どんな気持ち?
横山:ちゃんと募金してもらえるか不安が半分、楽しみが半分です。

白幡:これまでに自分で募金をしたことはある?
横山:中学生の頃、コンビニのレジに設置してある募金箱になんとなくしたことはある。
明日募金する人たちも、なんとなくでもいいからしてほしいなと思う。

白幡:明日募金した人に、お金がどう使われるか説明できますか?
横山:昨年の豪雨災害の義援金になる…くらい。ちゃんと聞いて調べてみます。

白幡:今後、どんなボランティアをする? またはしてみたいですか?
横山:知り合いからの声かけで桃の袋かけをする予定です。
あとティアボラで、切り絵を病院の壁面に貼ります。切り絵は難しかったです!

白幡:なんでボランティアするの?
横山:活動が楽しいというだけでなく、今まで社会に貢献してこなかったと思うので貢献していきたい、周りの役に立ちたい。自分は引きこもっていたので社会の役に立ちたいと思っています。

白幡:ボランティアをしてみようかな、という人に。「こんなふうに声をかけたい!」というのはあるかな?
横山:軽いノリで誘う…と思います。自分の得になるよ、ということを伝える。
誘うためには例えば、桃の袋掛けならジュースをもらえるよ、などというように言うかもしれません。ボランティア、軽いノリでしてみるのもいいかなと思っています。

 

【安藤さん】
「募金活動2年目!ティアボラ活動はあまりしてないけど、この募金には思い入れがある。」

 


白幡:今回ティアボラするのはなぜですか。

安藤:豪雨災害の様子を見て何か役に立てればと思って、昨年もティアボラでの募金活動に参加しました。集まったお金は、山陽新聞社を通じて被災地に届けてもらいました。
昨年募金活動中に被災者の方から、涙ながらにお礼を言われたのがすごく印象に残っていて、今年もやろうと思いました。このとき、できることを何かしてあげたいという気持ちが強くなりました。 

白幡:災害支援のために募金以外に他の活動もした?
安藤:昨年は現場に行ってボランティアをしたかったが、事情があってできなかった。
地域で声をかけてもらったが、他の活動もタイミングが合わずできなかったです。

白幡:募金活動ですけど、昨年してみてどうでしたか?
安藤:募金活動前は、自分に関係なくはないけれど、少し遠い存在でした。
募金活動中、活動後の心情の変化があり、被災者と話して岡山県民として自分も関係ない存在ではないということを感じた。力になってあげたいと思いました。

白幡:今後はどんな活動を行う予定ですか?
安藤:7月中旬に現場での活動に参加しようと思っています。写真洗浄の活動、片づけの活動など。

白幡:そうなんですね。なんで現場で活動しようと思うの?
安藤:現場に行ったほうが実感を持てると思う。募金をすることも大切だけど、身をもって実感することができると思うので行ってみようと思いました。

白幡:ボランティアについて聞いても良いですか? あるいは安藤さんのこれまでの経験や、これからのことでも良いのですが、どんな風に考えているか、安藤さんの思いや、これからどうしていきたいかなということを聞かせてください。
安藤:私は将来、心理カウンセラーになりたいと思っています。自分のためより人のために何かしたいと思う気持ちが強いです。以前、自分が学校に行かれなくなったときにカウンセラーに助けてもらったことや、KTCに来たときに悩みを持っている友だちの話をきいて、将来は人と関わる仕事をしたいと思いました。周りの人たち、先生や友だちなどが自分を支えてくれるからこそ、そう思う。
自分は人に頼ることが苦手だけど、頼られたいと思うんです。そして自分が困っているとき人に頼れないという思いが強いので、そういうふうに、頼ることができなくて困っている人たちを助けたいと思う。

白幡:ボランティア活動に誰かを誘うときには、どんな風に言いたいですか? 気軽にボランティアする人もいるかもしれないし、でも第一歩を踏み出すのにためらう人もいるかな…。
安藤:人のために自分から動いて、手を差し伸べて助けてあげたいという気持ちがあるなら、小さなことでもいいのでやってみることが大切だと伝えたいです。たとえば、コンビニでの募金や道端のゴミ拾いなど、ちょっとしたことからで良いと思う。
自分自身は、小学生のころから自然に活動していた。母の影響で一緒にやっていた。地域の清掃活動や、中学生のときは地域活動、ボランティア活動など。最近では、奉還町土曜夜市の出店の手伝いなどをしました。
でも、活動するときは1人だから、なかなかボランティアをしてみるのがむずかしい人もいると思う。分からないことを1人でするのはとても不安なこと。だから参加しない人もいるのかなと思う。とくに高校生では、一歩が踏み出せない子が多いと思う。なので、誘ってみることが大事かなと思っています。

 

【米川先生/五十嵐先生】
「ティアボラの活動を通じて。感じる生徒の成長」 

 

白幡:ティアボラは何年位になりますか? そしてティアボラの名前の由来ってなんでしたっけ?
米川:ティアボラは、7~8年ほど行っています。
「ティアボラ」という名前は、「ボランティア」を逆に読んで、そのように名付けました。 

白幡:先ほど生徒さんお2人にお話を聞きましたが、まず明日の募金活動について聞きました。各地でされているんですよね。それから集まったお金はどうしていますか?
米川:これまで募金活動は様々な場面で行ってきました。東日本大震災、口永良部島噴火、北九州豪雨、西日本豪雨など。
募金では、毎回5~7万円ほど集まっている。集まったお金の送付先は、東日本大震災は山陽新聞社。それ以外は赤十字です。

白幡:募金活動に対しての生徒さんの反応はいかがですか?
米川:生徒によっては災害などが起きた次の日には、「被害はどのくらいだろう…」と心配し、「ティアボラで募金しますか?」と質問してくる生徒もいます。「何かしたい!」と思う生徒はいつもいる。
募金活動をするにあたっては、人と接するのが苦手な生徒が多く、見ず知らずの人に声をかけるのに不安や恐怖を覚える生徒もいます。でも中には、「声かけできないけど募金活動をするのはいいですか」という生徒もいて、「もちろんいいよ」と言っている。なので募金する場面で、声はかけられなくても参加するという生徒もいます。
募金活動は、いちどした生徒は、2回目3回目もしています。
この活動は、どれだけ募金が集まったのかを見た目(数字)に出るので、やりがいを感じやすい。ゴミ拾いが何になるのだろうと意味を見出しにくい生徒もいるが、わかりやすいのだと思う。そういう意味で、KTCの生徒たちには募金活動が向いているのかなと思っています。

白幡:昨年、岡山駅で行った真備の募金活動では、どんな感じでしたか。参加した生徒さんの手応えや、何か変わったこと等ありましたか。
米川:真備に住んでいるという1人のおばあちゃんが足をとめ、「若い子たちがこんなに頑張ってくれてるのはうれしい」と大泣きした、という出来事がありました。「そのとき、どんな風に答えてあげればよかったのかな…」と、強く生徒たちの印象に残った。
また、募金する人からも「ありがとう」と言われるなど、プラスの声掛けに生徒は喜びを感じ、募金活動のやりがいにつながっています。

白幡:ボランティア活動をしていて困ること、困ったことでは、どんなことがありますか?
米川:生徒の中には、何かひとつのことに対しての集中力が高い生徒が多く、例えばごみ拾い、溝掃除などで、いつまでもどこまでもキレイにしたいといったこだわりがある場合など。時間内に終わらないことがあるので、時間を意識した行動が課題のひとつです。 

白幡:(ゆうあいセンターの)岡山高校生ボランティア・アワードに出場しての生徒の変化を教えてください。何か変わりましたか?
米川:ある生徒の話。1年生から3年間ティアボラ活動して、2年生のときにアワード終了後、賞を取りたいと言っていた。でも「賞をとるためにボランティアをすることは違うよね」と話しました。昨年度がスタートした時点で、ティアボラメンバーは少なかったが、その生徒は1人でもアワードに出ると言っていた。そうしたら、表舞台にでるのはきついけど準備だけならしてもいいと、8名ほど携わってくれた。(出場し、昨年度は「一歩一歩がステキで賞」を受賞した。)
アワードに出場する他のチームの分析などもしていて、活動だけでなくアワードでの発表の仕方も工夫をして、そういったことも生徒の成長なのかなと思っています。 

白幡:ティアボラをしていて良かったことはどんなことですか。
米川:生徒たちが、自分で活動をし、自分で経験することが嬉しいなと教師として思う。生徒は変わっていくが、どの学年の生徒たちも頑張っています。
ティアボラを通して、よく気が付ける生徒が増えたかな、と思う。
そういったことが、ボランティアをすることでの生徒の変化と思っています。  

 

ティアボラのみなさん、活動の様子を見学させていただき、色々とお話をお聞きしました。ありがとうございました!(ゆうあいセンタースタッフ 白幡・角南、ゆうあいセンターボランティア 金光)

関連記事

【巻頭インタビュー】「神南備山(かんなびさん)から広がる地域活性化」~特定非営利活動法人神南備山を考える会~

vol.44(2024年3月号)

【事業報告】「ゆうあいセンター利用者&登録団体同士の交流会~そっと寄り添う団体とのゆるやかなつながりづくり~」を開催!

vol.44(2024年3月号)

【寄稿】心を開くピアサポート 当事者同士のつながり~岡山市ひとり親家庭福祉会のインタビューを通して~

vol.44(2024年3月号)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)