ボランピオ

vol.26(2020年1月号)

【高校生ボランティアにインタビュー】~台風19号災害復興支援ボランティアバス  晴れの国おかやまボランティア隊 ~

2020年01月31日 10:00 by youi_center

「ボラバス」に高校生が参加していた。

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【台風19号災害復興支援 ボランティアバス運行】
「晴れの国おかやまボランティア隊」の募集について
岡山県並びに本会では、台風19号災害の被災地復興を支援するため、現地での支援活動を行うボランティアを募集しています。

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という案内を見つけて応募し、参加した山川承吾さんは芳泉高校3年生。
岡山県社会福祉協議会のボランティアバス第一便、2019年11月22日(金)から25日(月)に参加。
このバスには県社会福祉協議会の職員、三宅啓太さんも同乗していました。
この3泊4日を通して知り合った2人が改めて語り合う場として、12月中旬にゆうあいセンターに集合。今回のインタビューとなりました。

テキスト・編集:白幡めぐみ(ゆうあいセンター事業スタッフ )
撮影:白幡めぐみ、西村 洋己(ゆうあいセンター副センター長)

(写真:ゆうあいセンターでインタビュー。左:山川さん、右:三宅さん)

 

どうして「ボラバス」に参加を?

三宅)11月にボランティアバスで一緒に行ったけど、山川くんはどこであのボランティアバスの情報を知った?
山川)「台風19号 ボランティア」って調べたら、中四国ブロックでみつけて、「岡山から3台出ます」ってあって。それで「社会福祉協議会」ってあって「あ、あった!」と。

三宅)ボランティアに行きたいと思って探したの?
山川)そうです。そのとき検索で2つ出てきたんだけど、開いてみたらホームページが可愛かったから、こっちがいいかなと思った。参加してみたら、もう一個は中止していたと後から知った。あぶなかった~と思った。

三宅)なんで、東北に行きたいと思ったの?
山川)これなんです、とかないんですけど。テレビを見てたら崩壊しちゃった家とか、学校とか田んぼとか。それをずーっと見ていて、同じようなニュースを見ていたら、「自分、見慣れちゃってるなー」と思って。何か当たり前に思っている自分…苦しんでいる人がいるのに、当たり前と思う自分は、他人事に思ってしまっている。その人たちのことを遠い場所のお話としちゃっているようで、そういうふうに無意識に考えていることが悲しいなと思って。

三宅)今回の豪雨災害で初めてそう思った?それとも、むかしからそういう意識はあった?
山川)むかしからありました。
とりあえず、テレビで見ていても仕方ない、実際に行ってみないとわからないなと思って。実際に行ってみたら自分もマシな人間になれるかなと思って、調べたら、あった。

三宅)活動がしたいということと、あと、知りたいと思ったというのもあるのかな。実際自分の目で見たいとか。役に立ちたい気持ちも?
山川)そうです。両方。自分を変えたいと思ったのと、目の前に被災された人がいて、助けたいという気持ちもあった。なんか、できることないかなーと。出来ることないかなと思っている自分がどこにいるかな、と思ったんです。助けてあげたいと思うはずなのに、「ああ、また台風19号だ」とこっそり無視している自分が嫌で。現地に行くしかないな、と思った。

三宅)それで、行けることになった。
山川)はい。

 

 どんな活動をしたの?(その1.大郷町にて)

三宅)活動について覚えている? 4日間の行程。1日目はバスでの移動、4日目は帰りのバスだったけど。
山川)2日目は、大郷町(*おおさとちょう。宮城県黒川郡大郷町)にいきました。
名前忘れたけど「いなわら」でしたっけ?の掃除をしました。
三宅)河川が氾濫して稲わらが流れてしまって、野菜や果物の、ハウスの中や外に積もってしまったのを除去してほしいという依頼があったんですよね。
山川)自分たちがほうきで稲わらを集めて、ビニールハウスの中に入って、大きい道路まで出した。重機が通れるところまで片づけるということで、運んだ。
三宅)一日がかりでした。けっこうな重労働だったんですよね。
活動に取り組んでみて、どう思った?
山川)実際、テレビとか見てて、ぐしゃぐしゃになった田んぼをみても、あ、使えなくなっちゃったと思っただけだった。だけど実際やってみたら、その土地が好きで、そこで育てるのが好きで、その場所に人生をかけている人がいるということを初めて想った。テレビで見る田んぼ、あれをひとつひとつ…土地を愛し、作物を愛している人がいるんだ、と、その人たちのことを考えた。

三宅)社協職員としては、ボランティアとして目の前の片づけをすることが目的とは言え、ボランティアをしながら参加者が何を感じるんだろう、ということも考えていた。「泥を見ずに人を見る」と県社協の研修等でよく話していて、それをどう伝えようかと思っていたんだけども、そんなことを心配するまでもなくまさに、山川くんはそのことを自分から思い、語っていた。それが、非常に印象的だった。
山川)はい。そこの土地の人と話がしたかった。
三宅)この日依頼主の方も来られたけど、ちょうどそのとき山川くんがそこにいられなくて残念だった。

山川)被害がなかった農家の人たちは、競争相手が減るということになるのかな。被害がなかった人たちは競争相手がいなくなる、と思っているとしたら、なんだか悔しいな、などと思っていた。
三宅)自然に、そんなふうに被災した人の身になって考えていたんだよね。

(写真は社会福祉法人 岡山県社会福祉協議会のフェイスブック頁より許可を得て掲載。大郷町にて)

 

どんな活動をしたの?(その2.丸森町にて)

三宅)3日目の活動は?
山川)丸森町(*まるもりまち。宮城県伊具郡丸森町)に行きました。丸森町では、「家を壊し」ました。水で家の骨組みまで浸かっちゃっていて、骨組みにいたるところまで壁などを剥がしました。
三宅)けっこうな重労働だったね。狭い所に入って、はがして。そして1日目とちがって住居という生活の中に入って、依頼主さんもいて。依頼主さんと話をした?
山川)少しだけ。「卒業したら東京行きます」ぐらいだけど。でも、自分の家の1階の半分がないのに、明るく話してくださって、自分の話ではなく他人の将来の話なんかしていて、よくこんな話をしてくれるなーと。
「よくきたねー。これからどうするの?」と聞いてくれた。
三宅)ご自身が一番大変なときなのに、ボランティアに来てくれた人に「ありがとうございます」と言ってくれた。
山川)自分にはできないな、と思った。

三宅)活動後に依頼主さんから自分たちにひとこと言ってくれたのは…
山川)「世の中捨てたもんじゃないな」と言っていた。
三宅)1人1人にお礼の手紙を書きたいとも事務局に言われていました。
山川)そう。でも、そういう風に言うということは、依頼主さんはほんとは、世の中捨てていたんだな、と…。
やりがいをかんじた。
三宅)どんなところに?
山川)別にそのためにしているわけではないが、でもそうやって言われたら、自分が輝いた。
この日も前日と同じ風に、一軒一軒の家に長く住んで、そこに思い出を持っている人たちがいるなと思って、テレビでいっぱい壊れてしまった家を見たけど、そこには1人1人が生活していて、その人たちがどこかで必死で生きているんだなーと思ったら、つらかったですね。人の気持ちを考えました。

 

 ボラバスに参加して感じたこと

三宅)4日間、ボランティアバスに参加してみた感想は?
山川)そのときのメモを見ます。
(山川さんが活動中、感じたこと等を常にメモしていたノートを開き、)
自分の感想は…
・自分は結構スマホいじっているんで、そこに出ているニュースを見たりしていて、分かっているつもりになっていたが、「わからない」。頭だけでしか自分は分っていなかったなと。実際現地に行ってみたら目の前に360度光景がひろがり、においや風を感じ、実際に災害が起きているんだな、とそれまでとは感じ方が違っていて。
・ボランティアセンターは明るい雰囲気。みんな明るい笑顔。そういう、人を笑顔にする笑顔、その人たちの前向きな力も実際に見て。

テレビとかではあたまでわかる。現地にいって、こころでわかりましたね。
なんか…、感性が。こころが、ひとを動かすっていうか。理性でなく感性が、「人として」を教えてくれるなーと思いました。
学校は、知識とか与えてくれる。それも大事。でも理性を育ててくれる場所。自分の本当の感性は、学校の外かなと思った。学校でもボランティア精神を出す機会はあるけど。「人として」っていうのは、学校だけでは分かりにくいかなって思いました。
実際にボランティアに参加してみて、こころで学べました。
ありがとうございました。

 

(写真:自分の想いを話す山川さん)

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このあと、ゆうあいセンタースタッフからも質問させていただきました。

白幡)こういう話を、だれか他の人にも話しました?
山川)高校にディベート仲間がいて、環境破壊とか少子高齢化とか、これからの人類どうあるべきかとか、そういう話をする仲間で。彼らは普段は理解が深くて話し合える仲間だけど、今回帰ってきて話をしたときは、自分の想いを伝えてもすぐに納得してもらうのはむずかしくて。

白幡)そうなのね。他には誰かに話した?
山川)SNSでは、「みんな、他人事はやめようぜ」と発信したら、「そうだな」とインスタ仲間が言ってくれたけど。
でもこれでは意味ないなと思って。自分がこういう発信をしなくても、ボランティアに行くか?というと、行かない人が多いので。
「人のために動きたい」と思うか思わないかだと思う。

白幡)人のために動きたい。山川さんのその思いはどこからくるのかな。
山川)それは、家族かな。家族を大切にしている、家族に大切にされている人は、人のことを思えるのかな。
自分の人生のベースは、家かな。「そのときに、人のことをどれだけ思えるか。」自分はそう思う。


これから

白幡)山川さんはこれから、なにをしていくんですか?
山川)これからって、将来ですか。
白幡)はい。
山川)ゆめ?
白幡)そうですね。
山川)自分は途上国にいって、貧困を解決したい。既存の団体ではなく起業して、なにかしたい。
改革をしたい。この社会を!
白幡)いいね!

白幡)なるほど~ こんど大学に行くんだよね。大学ではどんなこと学ぶのかな。
山川)大学では、途上国の経済学、平和学、農業の仕組みとか、環境問題とか、そういうことを色々学べる。そこで色々学んで、現地に行って、こころをきたえて。
プロジェクトを将来形にしたいなっと。
白幡)楽しみだな~

 

白幡)ところで話を戻すけど、ボラバスで一緒に行った人のことを聞きたいのだけど。

三宅)ボラバスで山川くんは今回、最年長(79歳)のWさんと、隣の席でよくしゃべっていたよね。

山川)色々話を聞いた。人生80年分生きた気持ちになった!
三宅)チームは、年齢は別々だけど。職業は違う、年齢は違う。
山川)いろんな人と、いろんな話をした。経験談から、生き方とかいろんなことを教えてもらった。

白幡)そうなんだ。
一緒にボラバスで行った人と、いまも連絡とったりしている?
山川)それはないんだけど、一緒に行った別の人が言っていた。
「人を喜ばせたら、その人が喜んでいるのを見て、自分も喜ぶ。その人の喜びがすっごく大きいから、ボランティアやめられない。それが人間なんです」と。
そういうことを今の人類、忘れてるよなーと思う。

三宅)こういった参加者間の交流も楽しかった?
山川)楽しかった!

 

(写真:記念撮影に並んだ山川さんと三宅さん)

 

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「ボランティア」って、何だと思う?

今回のボラバスだけでなく、これまでにいくつもボランティアをしている山川さんに聞いてみた。

白幡)「ボランティア」って、何だと思う?
山川)教育だと思います。
ボランティアに参加した側は、今日(自分が)言ったことを感じられたけど、行ってみて、初めて感じられることがある。
こころの教育。
ボランティアをされた側も、こころが人間向きになる。人間の本来のこころを取り戻せる。

白幡)ありがとう。もっと突っ込んで聞きたいな。今日は予定の時間いっぱいになりました。また少し将来に続きを聞かせて下さい。
今日はたくさんお話しをしてくださって、山川さんと三宅さん、ありがとうございました!

三宅)ボラバスのとき現地でも感想を言ってくれていたけど、今日また改めて山川くんの話が聞けて良かった!
ありがとうございました。

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ぎっしり書き込みをしているノートを見ながらとつとつと話し、さらに今日考えたことをメモする山川さんでした。
月並みな言い方ですが、将来が楽しみです! ぜひまたお話を聞かせていただきたいと思いました。ありがとうございました。

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