ボランピオ

vol.28(2020年03月号)

【寄稿】子ども・その親・お年寄りみんなで一つの家族に ~ NPO法人元気交流クラブたけのこの家による三世代交流 ~

2020年03月27日 13:47 by youi_center
2020年03月27日 13:47 by youi_center

この記事は、大学生ライターによる寄稿です。
テキスト・編集・撮影:太田茉綾 大辻晴香 杉田歩未

たけのこの家は、「高齢者デイサービス」と「親子デイサービス」を実施しています。子どもからお年寄りまでの統合ケアで世代間交流のコミュニティを作っています。

統合ケアと聞くと、お年寄りと子どもの交流が想像されますが、たけのこの家では、お母さんたちも交流に参加しています。お年寄り、子ども、お母さんみんなが楽しく、一緒に成長しながら、大きな家族を作っていくことを基本理念としています。特に、お母さんたちが安心できる居場所づくりをしていることが最大の特徴です。

子どもとお年寄りの交流はこれまでも学習してきましたが、たけのこの家では、お母さんも含めた三世代の交流による統合ケアを行っていると知りました。そこでインタビューに伺い、私たちも交流に参加させていただきました。

高齢者デイサービス
〈手作りのおいしい料理〉
たけのこの家には広いキッチンがありました。そこでは、利用者一人ひとりに合わせた分量や調理法で食事の準備をしていました。彩り豊かで量も多く、クリスマスやお正月などのイベントでは利用者も準備に加わっているそうです。子どもたちも加わって、手作りのケーキに思い思いのデコレーションを楽しむ笑顔いっぱいの写真を見せていただきました。

〈こころもからだも温めよう〉
たけのこの家では、身体を温めることで心も温めています。マシーンを使った運動のみだと機能障害が出たりすることもあるので、マッサージや保温の器具を使って機能訓練をしています。また、スタッフや利用者同士で笑ったり話したりすることが利用者の自然治癒力の向上につながっています。他にも、レクリエーションや子供との交流を通して心身ともにリラックスすることを目的とした運動をしています。

レクリエーションで作成したカレンダー

親子デイサービス
 〈お母さんの安心の居場所づくり〉

子育てをしているお母さんは、一日中家で子どもと過ごしています。そんな中で、時間と心に余裕が持てなくなってイライラがたまってしまうこともあるかもしれません。そこで、たけのこの家では、お母さんたちの安心できる場所を目指して、母親支援をおこなっています。理事長の澤さんは、お母さんの心も体も落ち着いていることが、家の中の雰囲気もより暖かくなることに繋がると考えているそうです。

親子デイサービスは、火・水・金の週三日、会員制で実施されています。実際に親子デイサービスを見学してみて、お母さん同士で甘酒を飲みながら談笑したり、とてもアットホームな雰囲気でした。また、近くまで散歩に行ったり、砂場遊びをしたり、春と秋には遠足にも行くそうです。

〈三世代交流〉
交流の時間には、お年寄りと子どもたちがペアになって手遊びをしていたり、歌を歌ったり、誕生日のお祝いなど楽しいレクリエーションが行われていました。交流の最後に、子どもとお年寄りが一人一人ハイタッチをして、「またね」とお別れをしている場面がとても印象的でした。 

ハイタッチ!!        

誕生日お祝い

地域のボランティアがサポート
たけのこの家には地域住民が有償ボランティアとして関わっています。特に高齢者世代にとっては、ボランティアを通してつながりの場が広がり、一緒に身体を動かすことで介護予防になるのです。午前と午後にボランティアが来ており、散歩の付き添いやレクリエーションのサポートをしています。

インタビューを終えて
世代によって活動を分けて考えるのではなく、みんなが関わりを持つことが大事だと思いました。そのことにより、お互いにとって良い影響を与えていることを感じることができました。しかし、高齢者と子どもの生活リズムは違います。常に同じ空間にいると、負担になってしまうこともあります。そこで、互いの体調面を考慮し、交流の時間を設定するという工夫がなされていることを学びました。

また、高齢者と子どもだけでなく、お母さんという存在に着目することで、より温かな統合ケアが実現していることが分かりました。たけのこの家では、卒業したお母さんたちもたまに遊びに来ているそうで、いつでも戻ってこられる家族のような居場所になっていると思いました。

施設というより家、利用者というより家族、地域全体でみんなの居場所作りを目指すたけのこの家から、福祉を志す私たちが大切にしなければならない多くのエッセンスを感じることができました!このような統合ケアの形が、多くの人に伝わり、広がっていってほしいです。わたしたちもインタビューを通して学んだことを、これからの学習に活かしていきたいと思います。

三世代交流の様子

関連記事

【ゆうあいC 入居団体インタビュー⑦】 『言の葉舎』

vol.44(2024年3月号)

【寄稿】ソーシャルワーカーとして子どもの居場所づくりを考える ~子どもソーシャルワークセンターつばさのインタビューを通して~

vol.43(2024年1月号)

【寄稿】子供たちの自立を支えるNPO法人すたんど

vol.28(2020年03月号)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)