ボランピオ

vol.28(2020年03月号)

【寄稿】若者たちが可能性を発揮できる居場所 ~ 田舎のシェアハウス NPO法人山村エンタープライズ ~

2020年03月27日 13:47 by youi_center
2020年03月27日 13:47 by youi_center

この記事は、大学生ライターによる寄稿です。
テキスト・編集・撮影:大谷理彩子 手塚春菜 松田愛見

 「シェアハウス」、近年、耳にする機会も多い言葉です。そんなシェアハウスを田舎で行っている、NPO法人山村エンタープライズさんに、詳しいお話を聞くために、美作市までインタビューに行ってきました!!

✿ NPO法人 山村エンタープライズとは
岡山県美作市を拠点に、すべての若者たちが可能性を発揮できる社会の実現に向けて、様々なプロジェクトを企画、運営している法人です。今回は、プロジェクトの一つである、「人おこし」についてインタビューさせてもらいました。

✿ 人おこしとは
「コミュニケーションが苦手」「引きこもり」「発達障害」など、生きづらさを抱える若者たちが全国から集い、共同生活をしながら徐々に社会になじんでいくことを目指す取り組みです。自然に囲まれて、仲間たちと共に少しずつチャレンジしながら、さまざまな経験を通して次のステップへと進んでいきます。

 

人おこし           

シェアハウスの部屋

✿ 田舎のシェアハウスでの生活
現在、高校生~30代の入居者が12人で暮らしています。平日5日間は、プログラムを基に、野菜の収穫や地域でのボランティア活動を行います。活動は自由参加です。シェアハウスにはWi-Fiが完備されているため、みんなでゲームをしたり、テレビを見たりすることもできます。リビング、キッチン、お風呂、トイレは共同で、ご飯は当番制です。

〇詳しくはホームページをご覧ください! http://hito.sanson.asia/

✿ 田舎のシェアハウスを行うことになった経緯
 美作市の「地域おこし協力隊」として活動していた、藤井さん(代表)と能登さん(事務局長)。活動を行っていく中で、大きな空き家を借りることができたため、「山村シェアハウス」をはじめ、地域おこしに興味がある仲間を募りました。そうして、数人の仲間ができてきました。

シェアハウスをしつつ活動していく中で、一人の引きこもりの若者が、田舎で過ごす方がのびのび暮らせるのではないかという思いから、ここ美作に来てくれました。自分たちと一緒に地域の活動をしていく中で、明らかに元気になっていき、田舎のシェアハウスを一つの踏み台にして、就職という次のステージへ行きました。このことが、メディアで特集され、また同じような引きこもりの若者が来てくれてという形で活動に広がりが出てきました。こうした、地域おこしに来た人たちが元気になっていく姿を見て、地域おこしから「人おこし」にしようと考えたのが「田舎のシェアハウス」の始まりです。田舎のシェアハウスは、引きこもりや発達障害の若者を主な対象としています。一緒に地域に出ていき、いろいろな体験をする。そのことが、若者たちに良い効果をもたらす。その経験を活かしながら、現在では、医療・福祉の専門職などと連携しながら活動しています。

✿ 活動に対する思い
 日本の従来の福祉施設には、どうしても、「施設内で安全に」という引力が働いてしまう印象があります。外部との接触が多くなればなるほどトラブルは起こりがちなので、仕方がないことかもしれません。しかし、不登校や引きこもりの人たちの目的は社会に出ることです。社会に触れ合わないということは、その訓練、経験値を積む機会さえ摘み取ってしまうということです。僕たちは元々地域おこしをやっていた強みがあるので、地域との繋がりを活かし、なるべく外に出てもらうやり方をしています。毎日さまざまな場所に一緒に出かけて行き、いろんな体験をしてもらい、たくさんの人に出会ってもらっています。あくまでもここは、「彼らが社会で幸せに暮らしていくための準備をする場所」という方針です。

 最初は、何を目的に若者を集めて一緒に生活しているのか、地域の方には伝わっておらず、不信感を抱かれることもありました。しかし、地域の方と一緒に様々な活動をしていく中で、徐々に、シェアハウスの目的やシェアハウスに住んでいる人たちのことを知り、協力してくれるようになりました。今の社会で生きづらいと思っていた若者たちが、「ここだったらなんか受け入れてくれる」「暮らしやすいじゃん」って思えるコミュニティを目指しています。

共同生活   

地域での活動

✿ インタビューを通して
 「田舎のシェアハウス」って何だろうという素朴な思いから出発し、少し調べてみると、何だか不思議な魅力を感じ、引き寄せられるように、美作市に伺いました。美作市を訪れるのは初めてでしたが、田舎ならではの、のんびりとした時間が流れていて、どこか懐かしさを感じる場所でした。そして、シェアハウスを訪れ、インタビューをさせてもらい、とても落ち着く、安心感のある温かい居場所だと感じました。

 今の社会は、少し心がしんどくなったり、生活していくことがつらいと感じてしまうことも多いように思います。そんな風に感じた時に、ありのままの自分を受け入れてもらえる、この「田舎のシェアハウス」のような安心できる居場所を、私たちも自然と求めていたのかもしれません。安心できる居場所があれば、次のステップに繋がります。一緒に地域に出ていき活動をすることで、シェアハウスに住む若者も、周囲の地域にも良い効果をもたらしていると感じました。

✿ 田舎のシェアハウスで生活してみませんか?
 毎年、春休みに、田舎のシェアハウスで実際に生活するインターンの大学生を募集しています。これまでも、多くの大学生が参加し、一週間から二週間ほど一緒に生活をして、一緒にご飯を作ったり、毎日の活動に参加したりしています。興味のある方はぜひインターンに参加してみてください!

<お問い合わせ>
特定非営利活動法人 山村エンタープライズ
〒707-0012 岡山県美作市田殿2921
TEL 0868-73-0020 MAIL sanson.asia@gmail.com 
HP http://hito.sanson.asia/

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