ボランピオ

vol.27(2020年02月号)

【寄稿】自分の力を伸ばすことができる場所  ~ NPO法人ステップ ~

2020年03月13日 13:40 by youi_center
2020年03月13日 13:40 by youi_center

この記事は、大学生ライターによる寄稿です。
テキスト・編集・撮影:畑彩花、宮下彩 

不登校が関係ない世の中を作る!そんな熱い思いで活動を行っているNPO法人ステップ!「ステップはオタクが多い」と笑いながら話す原さんにインタビューを行いました!

インタビュー風景

ステップの方針
方針① 楽しく、楽に 
楽しくないと活動を始めるきっかけにはならないし、楽でないと続かない!楽しくて楽な方針であれば、生徒自身が意欲的に“変わろうと”と考えてくれるようになるのです。

方針② 早く、確実に
支援に時間をかけると学校に行っている同級生たちとの差が大きくなる!だから、本人の力を伸ばせるよう、情報を提供し、本人の環境を整えています。そして、自ら回復に向かおうとするきっかけを作っていくのです。

ー“楽しく、楽に 早く、確実に” どんな工夫を行っているのでしょうか?! 

ゲームを通したコミュニケーション!!

「ひきこもりとゲーム」と聞くと、ゲーム依存など悪いイメージを持つかもしれません。しかし、ひきこもりの方の中には、ゲームを通じてコミュニケーションを取ることが可能になる方が多い! 最近では、「フォートナイト」「レインボーシックス」というPCゲームが流行っており、ステップでもチームを作ってみんなで“楽しみながら”高見を目指しています。ゲームを通じて、褒め合う習慣がついたり、自分が周りの子に影響を与えることが自尊心を高めることにつながります。

みんなでゲームを始める様子

居場所づくりの工夫

1つ目は、個人レベルで1:1の関係をつくることです。共通の趣味がある子や性格が合う子をつなげることで、話題がある状態を作り、自己開示できる環境を作ります。人狼ゲームやテキサスポーカー、PCゲームなど、今流行っているもので生徒どうしが仲良くなって、そこから活動の幅を発展させていきます。2つ目は、本人以上に本人が望む環境を作ることです。その場で思いついたことを“すぐに”実行できる環境を整え、思いつきで考える力、得意なことを伸ばせる環境や自尊心が高まるような環境をこちらから作っていきます。

したいことができる空間

家族への働きかけ

子どもが不登校、ひきこもりになると、保護者は子どもの将来を心配し、「学校に行きなさい」「仕事に就きなさい」とついつい言ってしまいます。しかし、それを言われた子どもは、傷ついてしまい、一層自信をなくします。ステップでは、日々保護者と連絡を取り会話をすることを大事にし、保護者の悩みを聞いたり、何かあったときには「こう聞いてください」「これ質問してください」と“その場ですぐに”答えることができるようにしています。心配事やイライラを“その瞬間に”、ステップに相談できることで保護者は安心し、細かいことに目をつむることができます。

活動の現状と目標

“不登校になっても困らない社会をつくる!”ことを目標に、不登校支援に加え、その子の人生に合った教育機関をつくるオルタナティブ教育* に取り組んでいます。また、世の中の教育力の向上を目指し、不登校支援団体のサポートや支援を行う教育コンサルタントとしても活動し、大学の不登校対策などにも取り組んでいます。教育業界の安定やスキルアップから、不登校の予防や減少、長期化の予防につなげ、不登校になっても困らない社会をつくりたいと思っています。また、支援側が満足して終わりではなく、ひきこもり、不登校の当事者が安心して社会に出ていけることを目標としています。

*オルタナティブ教育とは、公教育などの伝統的な教育とは異なる「もう一つの教育」であり、社会人としてやっていける力を身につける教育です。

本人の力を伸ばす様々な活動

私たちが感じたこと

私たちがひきこもり、不登校支援と聞くと、学校に戻すことがゴールというように考えがちですが、社会に復帰するだけでなく、その先を見て支援をしていることに驚きました。実際は学校という枠組みが合わなかっただけで、社会の中に居場所はあります。例えば、ステップでは、パソコンを用いたり、実際に企業で働く人とかかわったりすることで、自分の力を伸ばし、社会で活躍できるよう促す支援を展開していました。活動内容の話では、AI時代を見据えていて、正直、私たちは話の内容についていけない部分もありました。しかし、社会はものすごいスピードで進んでいて、パソコンやAIの知識や技術を持っているひきこもりや不登校の方のほうが、私たちよりも何倍も進んでいると思いました。ステップでは技術を持っているひきこもりの方などを、いわゆる普通だと言われる社会の中に引き込むのではなく、その人に合わせたかかわりをしていました。技術を取り入れることで支援の可能性が広がっていくことに気づかされました。

AI時代という遊びの産業が発達する時代を視野に入れて、ゲームや遊びを積極的に取り入れるところは、これからの時代に必要なことだと思います。そして、その居場所で、気の合う仲間とともに過ごすことで、自分のやりたいことや、目標は見つかるのだと感じました。大切なことは、大丈夫という心の余裕を持つことです!

アクセス

★住所 〒700-0907岡山市北区下石井2丁目8-6三木第一ビル2階
★電話番号 086-221-1001
他にもさまざまな活動を行っています。関心のある方はホームページへ!URL:http://npostep.com

 

 

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