ボランピオ

vol.27(2020年02月号)

【寄稿】孤立を防ぐ、自分らしく生きる ~ こころステーション ~

2020年03月13日 13:40 by youi_center

この記事は、大学生ライターによる寄稿です。
テキスト・編集:國定咲歩 原田悠妃

こころステーションの活動目的
現代社会は、物が豊かで便利になった反面、ハラスメント、いじめ、虐待、悲惨な事件・事故などが多発しています。そのような社会の中で、戸惑い・悩んでいる人たちの多くが、自分らしく生きたいと願いながらも、その願いの届け先を見つけることができないでいる現状があります。こころステーションでは、それらの人たちが孤立することなく、生きる希望を見つけることができるよう、伴走する活動を実施しています。

こころステーションという団体名称に込めた思い
人は、人に傷つき、人に癒されます。例え過去にどんなに辛く・悲しいことがあったとしても、しばし歩を止め、行き先を定め、再び歩を進める電車の駅のように、こころステーションは温かな対話で弱った心を休める場所にしたいと考えています。そして、心を休めた人たちに、未来を自分らしく生きて欲しいとの思いを込めています。

主な活動内容
①こころ相談の実施
・戸惑い・悩んでいる方々(精神的な援助を必要としている方々)のための相談所
・こころ相談【岡山】は毎月一回ゆうあいセンターで開催
・こころ相談【倉敷】は隔月一回くらしき健康福祉プラザで開催

②訪問こころ相談の実施
・病気・被災等のためこころ相談に出向くことが困難な方々のためのアウトリーチな相談所
・随時、相談者からの依頼を受けて実施

③いっぷくかふぇの開催
・こころステーションと裏千家淡交会青年部東中国ブロックとの共催により、倉敷市内の6仮設団地を巡回し、平成30年7月豪雨被災者にお抹茶を提供しながら、被災者が孤立しないよう心に寄り添う活動を実施しています。
・概ね月一回、一仮設団地で開催(6か月をかけて6仮設団地を一巡)

活動に対する思い
戸惑い・悩んでいる人に向けて、「乗り越えましょうね」と言葉をかけている様子を見かけることがありますが、戸惑い・悩んでいる人たちの中には、今の自分には「乗り越える」ことはとてもできそうもないと、一層孤立感を深めてしまうことがあります。こころステーションは、相談者が孤立しないよう温かな対話をしながら伴走しています。相談者は、戸惑いや悩みを相談員に語ることによって、自分を客観的に見ることができるようになり、手に負えないほど大きかった戸惑いや悩みが、まるで自分の身体の一部にでもなったかのように、心を整理することができ身軽になれると考えています。

語ることにはこのような力があるもので、人は、よく聴く人の前でよく語ることができます。こころステーションの相談員は、相談者の語りを待ちながら、相談者と伴走する(「受け止めて共感的に聴く」)ことを大切にしています。

周りに伴走してくれる人がおらず孤立してしまう人を無くすためには、助けてほしいと思う人が「SOS」を出しやすい仕組みづくりが必要です。また、孤立を無くすための支援は、戸惑い・悩む人を誰かが気にかけることができる仕組みを創る(支援ネットワークの構築)ことが大切ではないかと考えています。この支援ネットワークの中核は、社会福祉士、弁護士等、福祉制度の枠を越えて活動できる方々に担っていただきたいと希望しています。

複雑化・多様化した現代社会において、人々が生き伸びるために最も大切なことは、お互いがお互いを理解し合い、共生していこうとする気運が広がることで、孤立しない、孤立させない活動はその一歩になるものだと考えています。

私たち大学生にできること
自分らしく生きようと願ってもそれができないほどに悩んでいる人は、自分らしく生きるための「答」を自分で見つけなければ前に進むことができません。「答」は外にはありません。内に「答」はあるのです。決して、有資格者が「答」を見つけてくれるものではありません。でも、伴走してくれる人が傍らにいることで、安心して悩み逡巡し、その人の「答」に近づくことができるのです。私たちにできることの一つは、こういった心の課題について学ぶことだと思いました。

また、もう一つは、こころステーションのような活動を知り参加することだと思います。聴くことや語ることの力を理解し、こころステーションの活動目的や趣旨を理解すれば、資格の有無、年齢、経験等に関わらず活動に参加することができます。若い方からの相談は若い相談員が、女性からの相談は女性の相談員が対応する方が、相談者にとって語りやすいということもあるそうです。若年層の自殺者数は減少していません。大学生にも是非参加してほしいと言われていました。

インタビューを終えて
80-50問題等にみられるように、福祉制度の対象とならない人でも支援が必要な方や、孤立等にみられるように、福祉制度による経済的な支援を受けていても制度だけで解決できない心の課題を抱えている方がたくさんいます。インタビューを通じて、心の課題を解決していくためには、福祉制度の活用に止まらず、居場所や寄り添ってくれる人の存在が大切だと感じました。

こころステーションでは、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、住職、公認心理士などが活動しており、また、既存の社会資源を積極的に活用するなど、公的なサービスに繋げる役割を果たすことで、孤立を防ぎ、よりよい福祉を実現するための連携に注力していました。私たちも社会福祉士を目指す者として、そのような仕組みづくり環境づくりについて、これからも考えていきたいと思います。

話の腰を折ってアドバイスをするようなことはしないと言われていました。私自身、解決方法を知りたいのではなく、ただ誰かに話を聴いてもらうだけでいい日があります。大きなことはできなくても、一人ひとりが、誰かのそんな存在になれたらいいなと思いました。

 

関連記事

【寄稿】子供たちの自立を支えるNPO法人すたんど

vol.28(2020年03月号)

【寄稿】若者たちが可能性を発揮できる居場所 ~ 田舎のシェアハウス NPO法人山村エンタープライズ ~

vol.28(2020年03月号)

【寄稿】子どもにぬくもりを届ける ~ 一般社団法人ぐるーん ~

vol.28(2020年03月号)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

vol.26(2020年1月号)

誰かを支えるとは、どういうことなのか いま、困っている人に希望を届けるため...