ボランピオ

2017年2月号

企業が行うボランティア―マスカット薬局のCSRの取り組み【前編】―

2017年02月28日 18:55 by youi_center
2017年02月28日 18:55 by youi_center

みなさんは、CSRという言葉を知っていますか?2016年12月号のボランピオにも記事が掲載されていますが、CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業が社会の中の一員として果たすべき責任」のことを指した言葉です。詳しくは【企業とNPO・ボランティアの協働と社会課題の解決にむけて】をご覧ください。

ところで、「ボランティア×企業」。いま一つピンとこない方も多いのではないでしょうか。この文章を書いている私自身、正直なところ初めはよくわかっておりませんでした…。しかしその疑問の答えは、岡山県内で薬局を展開する「マスカット薬局」さんのCSRの内容、取り組みに対する心意気を、社長の髙橋正志さんに伺う中で見えてきました。社会課題の解決に向けた具体的取り組みに繋げるために、前編では企業が行うCSRについて、マスカット薬局さんを例に一緒に学んでみませんか?

●マスカット薬局さんについて

血の通った温かい組織を…という思いのもと、「命ある企業経営」を理念として掲げるマスカット薬局さんは、岡山県内の各地に保険調剤や一般用医薬品販売を行う13店舗の薬局を展開されています。社長の髙橋正志さんによると、「地域の方々一人ひとりの健康を守る」ことが企業活動の目的だそうです。

 ●取り組みのきっかけ

 正直な話、CSRを行うには通常の事業内容とは別にコストがかかります。仕事が増えるように感じるのも当然です。そのリスクを冒してでも取り組みを開始した、髙橋社長の思いはどのようなものでしょうか。

 日本人の健康寿命は、平均寿命より10年ほど短いそうです。つまり、寝たきりや介護が必要な状態で10年を過ごす方が多くいるということです。これでは、その方にとっても、医療費の多くを負担する国にとっても良いことはありません。少ない人数で多くの人を支えることになってしまいます。この国を持続可能な社会にするには、医療費負担にかかる支出を下げることが必要で、そのためには人々が健康でいる時間が長くあることが必要なのです。

 目先の利益だけにとらわれているようでは、持続可能な社会は望めない。この社会を支える一員として、企業としてもできることから取り組もう。こうした思いが、現在のCSRに繋がっています。

 ●活動の内容

 マスカット薬局さんは、CSRの取り組みとして「サロンマスカット」や「健康教室」などを開催しています。店舗で行うこともあれば、各地域の集会所などに出張することもあり、20名前後の参加者さんがいらっしゃるそうです。ここでは、正しい薬の使い方や、冬場の入浴の注意点などをテーマにするほか、自然治癒力を高めるアロマテラピーなどをテーマにすることもあるそうです。そのほかにも軽く体を動かすようなこともあれば、風邪予防の食事について考える時もあり…。内容は薬局ならでは、多様な視点からアプローチが試みられています。【マスカット薬局さんの地域活動】

マスカット薬局さんの取り組みの特徴は、地域密着型の企画であることです。中学校区をひとつの単位として、その地域の方々に健康に対する意識を高めてもらうことが狙いです。薬を飲まなくてよい、健康な時間を長く過ごすために、マスカット薬局のCSRは地域の人々の健康を守る目的で展開されています。

後編では、この活動とNPOなどの団体がどのように共通するのか探ることを通して、社会課題の解決に向けた協働の可能性について考えてみます。

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