住む場所があること、帰る場所があること。それが当たり前だと思っていた私たち。しかし実際には、「障がいがあるから…」「高齢だから…」という理由で入居を断られ、住む場所を見つけられないで困っている人がいます。そんなとき、障がいや高齢に関係なく住居を提供してくれる場所があれば、誰もが安心して暮らすことができるのではないでしょうか。
私たちは現在、ノートルダム清心女子大学で、社会福祉士を目指して勉強をしています。その中で、障がいや高齢を理由に入居を断られる人々の存在を知り、「そういった人々のためにどういった支援がおこなわれているのだろう?」と疑問を感じました。そこで私たちは、入居支援のためにさまざまな活動を行っている「特定非営利活動法人おかやま入居支援センター」にインタビューに訪れました。
「おかやま入居支援センター」とは
おかやま入居支援センターでは、障がい者や高齢者の支援に携わっている、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門家がチームとなってサポートにあたっています。
障がい者や高齢者、被虐待者、刑余者などの住居確保が困難な方に対して、①入居支援ネットワーク形成、②賃貸保証、③シェルターといった方法でサポートし、場合によっては緊急連絡先にもなります。そのような活動を通して、「誰もが安心して暮らせる街づくり」を目指しています。
「入居支援決定」までの流れ
相談日は、火曜日と木曜日で、事前の予約が必要です。支援が決定すると、物件探しや支援ネットワークを形成していきます。支援ネットワークは、部屋の確保だけではなく、その人の生活や住まい全般を支援する仕組みです。また、入居後は、地域でスムーズに過ごせるように、支援ネットワークで見守りを行います。
入居支援の現状とその課題
◎入居支援の現状
入居支援の効果として、利用者間の関わりが形成され、お互いに見守りを行うようになってきました。例えば、サロンの代わりにみんなが集まることのできる場所として、「よるカフェうてんて」が2016年7月にオープンしました。平日は誰もが支援をすることができますが、土日に不安を感じる人も多くいます。そんな時うてんてでは、専門家やピアサポーターなどに話を聞いてもらうことができるのです。
また、一時的に避難のできるシェルターがあることによって、緊急援助体制が強化されました。
◎入居支援の課題
まず、申し込みから入居支援決定までに時間がかかり、さらに、支援ネットワークの形成や保証支援までにさらに時間がかかってしまうことが課題だと言われていました。その日、泊まる場所がない人や虐待から逃げてきた人が目の前にいるのです。また、社会的に孤立している方も多く、支援ネットワークを形成していくことの難しさも課題だそうです。
「おかやま入居支援センター」の今後
今後は、誰もが安心して自分らしく暮らしていくために、「入居支援」「地域生活支援」にとどまらず、対象者を限定しない「住居の選択肢」を拡げていくこと、そして、支援する者・される者という垣根をなくして「共に生き」「共に働く」という理念で、みんなと一緒に多様な事業をしていきたいと考えています。
おわりに
おかやま入居支援センターには、一人の大学生がアルバイトに来ていました。「普段関わることのない人と関わることで、新しい発見をし、自分の視野を広げられるのではないかと思い、ここで働こうと思った」と話していました。まずは、関心を持つことが、住みやすい街づくりへの架け橋となると感じました。
住む場所があること、家に帰れば家族が待っていること、それが当たり前のことだと思っており、住む場所がないということを考えたことがありませんでした。
支援したいという気持ちがあっても、うまくいかないことがあることを知りました。また、支援につながった後の、見守りなどといった地域生活のサポートの重要性と地域住民のかかわりについて考えました。中には他者とのかかわりを望まない人もおられ、そういった方の地域生活をサポートしていくことの重要性や難しさについても考えさせられました。
インタビューを通して、今まで知らなかったことを学び、沢山のことを考えることができました。今後も社会福祉士を目指して、勉強を続けていきたいと思います。お忙しいところ、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
ノートルダム清心女子大学人間生活学部人間生活学科
社会福祉士課程3年 松末夏奈・間野渚
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