ボランピオ

2017年9月号

病気の子どもたちに入院中でも学習や体験の場を提供したい~NPO法人 ポケットサポート~

2017年09月22日 17:46 by youi_center
2017年09月22日 17:46 by youi_center

「退院後も勉強を教えてくれるところが欲しい」
院内学級への学生ボランティア時代に聞いた一言がきっかけだった。
代表の三好祐也さんは自らも腎臓を患い長期治療を続けている。
自分の感じた不安や悩み、辛さが今もほとんど変わらないー強い憤りがポケットサポートの設立へとつながった。

ポケットとは心の空白

ポケットとは本来体験するはずの学習や経験を出来ずに開いてしまった空白の事。
小児がんや心臓病など長期の治療や繰り返す入退院が必要な子どもたちは
学習の機会が減り、遠足や運動会などの学校行事に参加できないこともある。
入院中や自宅療養中には家族や友達と会えない寂しさもある。
こういった本来みんなが等しく受けるべき教育や体験、それに伴う心の成長の空白“ポケット”を埋めること。
それがサポート活動の柱になっている。

学習支援を柱に交流体験も

学童期の子どもたちを中心に入院中から外来通院、復学までの学習支援。
夏祭り、クリスマス会、遠足などによる当事者の子ども同士や家族との交流体験。
法人では大学生ボランティアを中心に社会人ボランティアやスタッフ総出でサポートしている。

さらに認知度を上げるため、高知小児がんの子どもを守る会高知支部にて「小児がんの子どもの学習支援・復学支援について」と題して、
心臓病の子どもを守る会 岡山支部 では「病気の子どもの自立支援」と題して等々、それぞれ一般の方や当事者保護者等に向けての講演も行っている。

辛い治療を忘れられる

「何で辛い治療もして勉強もがんばるの?」
「辛い治療の事も勉強に集中している時は考えなくてよくなるから」
ある当事者の親子の会話である。
常に治療と向き合い体の辛さも伴って不安と隣り合わせでいる当事者の子どもたち。
勉強に集中している間は辛い治療を忘れられる。
当事者にとってはかけがえのない時間である。
同世代の子の日常により近づく事こそが大切だと考えていたが、それだけではないようだ。
「この子の言葉は本当にポケットをサポートすることの真理をついていると思う」
インタビューの最後に三好さんはこう語った。

岡山県内に小児がん、心臓病、などの慢性的な疾患、長期にわたる治療や入院が必要な子どもたちは小・中学生で約1100人、高校生を含めれば2200人を超える。
そのうちサポートの届いている人数はまだ少ない。
「孤立しないで、一人じゃない」
辛い治療の日々や孤独を必死に耐えながらも支援についての情報が届いていない子どもたちへ伝え広めたい。


ポケットサポートでは、支援の幅を広げるための寄付会員、大学生の学習支援ボランティアの新規募集を行っている。
少しでも協力したいという方は是非ポケットサポートまで問い合わせを。


特定非営利活動法人ポケットサポート
事務局
〒700-0932 岡山市北区奥田本町22-1
E-mail  info@pokesapo.com
TEL  086-941-1713
       090-7590-0571

(鈴木紀子)

関連記事

【ゆうあいC 入居団体インタビュー⑦】 『言の葉舎』

vol.44(2024年3月号)

【寄稿】ソーシャルワーカーとして子どもの居場所づくりを考える ~子どもソーシャルワークセンターつばさのインタビューを通して~

vol.43(2024年1月号)

【寄稿】子供たちの自立を支えるNPO法人すたんど

vol.28(2020年03月号)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)