年度としては昨年度になりますが、2月の最後の日曜日、真備公民館岡田分館で、興味深い報告会が開催されました。「青年の地域定住促進のための地域おこしinネパール2016年度活動報告会」です。
2014年(平成26年)10月、11月に、岡山市では初となる国連機関の国際会議である「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催され、多くの県民がボランティアで参加しましたが、その後この会議の結果を受けて、どのような取り組みが行われているか、ご存じでしょうか。
世界会議のコミットメントの中で、日本の公民館活動を参考に、世界の開発途上国で公民館を通じて地域を育てるというアイデアが共有されました。
この報告会が開催された真備公民館岡田分館は、ネパールのプールCLC(Community Larning Center: CLCは日本の公民館をモデルにつくられました)と姉妹公民館となっています。
●ネパール農業の現状と模索
ネパールでは燃料として草や木を使用することで土地が荒廃しています。主要農作物はとうもろこしですが、作付面積に対する収量が非常に低く、農家の暮らしは貧しく、現金収入を求めて若者が土地を離れていきます。
より多くの収量と用途が期待されるサツマイモに作物を切り替えることが出来れば、状況が改善されるかもしれません。岡山県国際団体協議会の会員団体である「ネパールやぎの会」が30年以上かけて現地に入って研究し、指導しています。
今回は、現地で「ネパールやぎの会」の是松弘通さんの指導を受けたニロジさんが来日し、ネパールの現状を報告しました。
<ニロジさんの報告>
「日本の農業技術を自国にも適用したいと思っております。若者の農業も研修も行っていきたいと思っております」、ニロジさんが緊張した面持ちで語り始めました。
「岡山県国際団体協議会さんのご支援のもと、サツマイモのプロジェクトを行いました。様々な活動がされました。サツマイモの栽培、ヤギと豚の飼育、食料としてのサツマイモについてのトレーニングを行い収入増をはかりました」
サツマイモはそのまま食べるだけではなく、加工品が数多く作れます。ツルは乾燥させて、乾期のヤギの餌にすることができます。そのヤギの糞は、是松さんが考案したメタンガス発生装置で燃料になります。まさに持続可能な開発のための教育、ESD(Education for Sustainable Development)です。
はたして、この活動によりネパールの若者の農村からの流出に歯止めがかかるのかどうかは、現時点ではわかりません。ただ、少しでも役に立つことができればと、無私な心で取り組む無名の日本人がそこに存在するだけです。
●ネパールの未来への課題
活動報告会ではその他、高松農業高校の教諭による農業教育のカリキュラムの紹介、4つのグループに分かれて、今後の活動に向けての提案が話し合われました。
ワークショップでは、資金不足、人材不足、販売路の開拓不足、インフラの未整備など、多くの問題が浮かび上がりました。
岡山県国際団体協議会は、来年度もこの取り組みを続け、「ネパールやぎの会」の継続的な支援も続く予定です。
(木口仁美)
読者コメント